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急激に進む高齢化や医療技術の進歩などによって医療費はどんどん増え、日本の医療保険制度は財政的に厳しい状態です。そんな中、成分や効き目が同じで、価格が安い「ジェネリック医薬品」が注目されるようになりました。 ジェネリック医薬品とは、新薬の独占的販売期間(有効性・安全性を検証する再審査期間及び特許期間)が終了した後に発売される、新薬と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が同一な医薬品です。開発や研究にかかる時間や費用が少ないため、価格が新薬の2~7割に抑えられていることが特徴です。有効性・安全性については「規格及び試験方法」、「安定性試験」、「生物学的同等性試験」の項目で審査され、新薬と同等であることを示すことで国から製造販売承認が出されます。 厚生労働省は医療保険の財政難を背景に「数量ベースで現在17%の後発品シェアを2012年度までに30%へ引き上げる」ことを目標とし、今年4月には使用促進を図るために処方せんの様式が変更され、処方医が「後発医薬品への変更不可」とする場合を除き、患者さんのご意向に基づき、薬局で先発医薬品を後発医薬品に変更することができる様になりました。また、後発品メーカーも積極的にテレビコマーシャルをうち、拡販に力を入れています。最近では降圧剤の大型製品でジェネリック医薬品が発売され、さらに80~90年代に発売された大型製品が次々に特許切れを迎えることにより、今後はジェネリック医薬品を使用する機会がますます増えると予想されています。 後発品メーカーのテレビコマーシャルから受ける印象などもあり、ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じものと理解している方も多いのではないでしょうか?今年4月以降、後発医薬品に変更が可能な処方せんの発行率は6~7割になったとされ、処方せんの様式の変更以前に比べると飛躍的に増加しました。実際にこの変更をきっかけにジェネリック医薬品に変更したという方も多いかと思いますが、みなさんはどのようにジェネリック医薬品を理解し、お使いいただいているのでしょうか? ジェネリック医薬品は品質・有効性・安全性が先発医薬品と同レベルであることが確認され、製造販売承認が出されており 、大きな規模で治療上に問題があったという事例はありません。しかしながら、ある調査では「"変更可"の処方せんで後発医薬品に変更したものの、再度、先発医薬品に戻した経験がある」と55%の薬剤師が回答したとしています。頻度は稀ではあるようですが、後発医薬品にまったく問題がないというわけにはいかない部分もあるようです。 医薬品に関する特許には、新しい化学物質に与えられる「物質特許」、物質の新しい製造方法に与えられる「製法特許」、製剤上の新しい工夫に与えられる「製剤特許」、 また、既存の化合物に新しい効能・効果が認められた時に与えられる「用途特許」があります。通常、「新薬の特許期間の満了」とは「物質特許の期間満了」を指しますが、 その時点で製法特許や製剤特許の特許期間が残っている場合もあります。そのような場合、製法特許をクリアした原薬(医薬品の有効成分となる化合物)の使用や、製剤特許 をクリアした製剤化が行われます。 従って、原薬についていえば、ジェネリック品は製造方法が先発品とは異なる場合があり、それによって原薬の物性(色、融点、溶解性、結晶形などの物理化学的性質)や不純物が異なることがあります。また、仮に製造方法は同じでも使用する設備が異なれば、それだけで化合物の物性は異なることがあります。化合物の物性をコントロールすることは非常に困難なことで、このことは原薬製造に携わる者であれば常識なのですが、一般にはあまり触れられない部分です。 また、製剤化については、特許上の理由や何らかの意図でジェネリック医薬品の添加剤は先発品と異なる場合があります。通常、安定性試験、溶出性試験、生物学的同等性試験等は最終剤型で行われ、添加剤の違いによる影響がないことが確認されています。しかしながら、実際に薬を使用する患者さんには個体差があり、一定の条件下で行われる同等性試験では網羅しきれない場合があり得ます。特に軟膏などの外用薬は主薬以外に基材が主薬の組織移行に大きく影響するので、添加剤の違いによる薬効への影響は無視できないとする医師も多く、後発品へ変更を認めない医師には皮膚科や眼科に多い気がします。 最近の臨床系の学会では、特定の薬剤について先発品とジェネリック品の比較データが多数報告され、その中のいくつかには「ジェネリック品は問題あり」とするものもあります 。例えば、副作用の発生頻度に差があった、溶出試験により品質確認をしたところ生物学的同等性試験ガイドラインの基準で不適合となるものがあった、添加物が原因と考えられる薬剤性肝障害の症例などの報告もあります。 どうしてこのような報告がされるのか?それは先発品と後発品は違うものだからです。 ここで言いたい事は、「ジェネリック医薬品は危険だ」ということではありません。メーカーが異なれば、まったく同じ製品はあり得ないという事で、実際に薬を使用する患者さんの個体差を完全に網羅した同等性の保証はあり得ないということです。違うものを同じということは、本来は無理で、同等性試験も細かいことをいったら、まったく問題がないということはありません。 では、ジェネリック医薬品は使わない方がよいのか?というとそうではありません。患者さんの負担金が軽減できる点、医療保険財政を改善できるという点で大きなメリットがあります。 ジェネリック医薬品は、実際の使用において、品質・有効性・安全性に不都合がないレベルにあることが確認されいています。大多数の患者さんが問題なくジェネリック医薬品を使用しているので、必要以上に敬遠する必要はないと考えます。 ただ、医薬品の銘柄を変更(先発品からジェネリック品、ジェネリック品から他のジェネリック品)することは、それなりにリスクが伴うということを理解することは必要ではないでしょうか?先発医薬品だから安全、ジェネリック医薬品だから危険ということではなく、薬を変更する場合はそのことをよく理解し、特に変更後しばらくは体調の変化には充分注意しておく必要があると考えます。 ジェネリック医薬品の使用についての最終的な選択権は患者さんにあります。少しでも気になることがあったら、かかりつけ薬局の薬剤師に相談しましょう。 参考:ファルマシア Vol.43 No.8(2007.8),日本ジェネリック製薬協会HP,薬事日報HP 「漢方薬に後発品はないのか?」という質問を受けることが多くあるので、この項目を追加します。 生薬、漢方エキス製剤の場合、メーカー毎に薬価に差はありますが、「先発品」と「後発品」の区別はありません。理由はいろいろと挙げられますが、まず漢方処方、生薬には特許がないことがあります。また、エキス製剤では、同一処方名のものでも出典などの違いにより「構成生薬」や「その分量」に違いがあったり、適応症も異なる場合があるなどジェネリック医薬品の定義に当てはめ難いことなどが理由に挙げられます。 |
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